統一協会の素顔 — 川崎経子

統一協会の素顔  -  その洗脳の実態と対策

《著者紹介》
川崎経子(かわさき · きょうこ)

1929年東京都に生まれる。東洋英和女学院高等女学校卒業。中央大学修士課程了。日本聖書神学校卒業。日本基督教団谷村教会牧師を22年務めた後に隠退。現在はNPO小諸いずみ会「いのちの家」所長。「黒鳥 · 清水牧師裁判を支える会」の代表世話人を務めた。著書「原理に入った若者たち—救出は早いほどいい」(原理運動を憂慮する会)「自立ヘの苦闘—統一協会を脱会して」(共著、教文館)


目 次

推薦のことば …… 5
はじめに …… 7
改訂にあたって …… 9
一  固い洗脳のとけるまで
元 (統一協会員)、 道子さんの手記 …… 11
二  道子さんの母親の手記 …… 31
三  珍味売りの実態 …… 45
四  尾驚での大惨事にみる
統一協会の対外対策の一例 …… 69
五 マイク口での心情日誌
原研所属のある女子学生のノートより …… 83
六 楽し<学んでよ<わかる原理講義 (案)
子どもの気持を理解したい親のために …… 101
七 原理青年のたどる心の旅路 …… 123
入教―活動―説得―脱会
八 統一協会からの脅迫・中傷・いやがらせ …… 201
その対応と対策
九 終わりにあたって …… 213

付録 原理用語解説 …… 217
救出を願っておられるご家族のために
(ホームぺ一ジ、関連書籍、相談窓口) …… 260
あとがき…… 263

装幀 熊谷博人
イラスト  牧  美奈


賛助サークル&ご紹介


⊘ 原理

ふん      はぁ     今の生活に満足していますか?!


きれいねえ     いいわねえ     すごおーい
すてきねえ     ぴったりねえ

気をつけよう、甘いことばと展示会


ビデオセンターは愛でいっぱい?
でも、シュータリームには要注意!


お母さん!         道子!!

私は真実の愛の尊さを知りました


ルーシエル  愛の減少感

アダム    エバ

完成
長成
蘇生


復帰摂埋から見た歷史癸展表示図

ここまできたらかなり危険


愛する天のお父様  ??   真なご父母様、興進様  ??

原理の愛と真実の愛が戦って


 


マイクロ隊大図解

さお―れぇいつ!

地上天国は聖歌(軍歌 ?)から始まる


にこにこニッコリ!  北海の珍味はいかが?


お父様のご苦労に比べたら...!


お父様    ほんとに   お父様    ほんとに   お父様

ぼくらの日課だ、基台祈禱。夢の中にいる人もちらほら



トンギル …        トンギル …

南北統一              文鮮明命

信仰はしぶとさが第一?!

 



101

六   楽しく学んでよくわかる原理講義 (案)

— 子どもの気持を理解したい親のために —

 


8の字型思考回路について
「原理はむずかしい」という声をよく耳にします。けれど、たった一つだけ楽しく学んでよくわかる方法があるのです。それは原理青年と同じ思考回路によって原理を学ぶのです。この思考回路を、私は「8の字型思考回路」と名付けました。
どうして「8の字」なのかと言いますと、『原理講論』四四ページに、「見えない性相は見える形状となって現われる。見えるところの外形は見ることのできない内性がその如くに現われたものである。人間についてみても『心がある形を持っているので、その心に似ている体もある形を持つようになる』」という、たいへん面白い教義があります。これを説明するために用いられるのが、8の字によく似た図形です。この理論のように、外形=顔や体を見ただけで「ウソつき」かどうかという内性までわかったら、どんなに愉快でしよう。警察は真犯人を取り違えることはもうなくなるのです。ウソなしには伝道も経済もできない統一協会はたちまち漬れて消滅するでしようし、リクルート汚職議員になど誰も初めから投票していなかつたでしよう。けれど、こうしたちょっと考えればわかることも考えようとせず、咀嚼もせず、言われたままを受け取る素直ささえあれば、初めのうちは「何かおかしいな」とふと思うことはあっても、いつの間にか思考は8の字型の中を行きつ戻りつを始め、やがてゆっくりと8の字の軌道に乗った動きを始めるのです。

この思考回路の特色は、すベるような滑らかさと、馴れるほど居心地がよくなることです。表面を数回すベれば納得した気分になれます。何十回となくすベれば、文章がそのまま、頭のデー夕バンクにたたき込まれ、原理講義もできるベテランの域に達した錯覚にとらわれます。8の字は次ページの図のように、リボンを輪にしてひねったように表、(白)と裏(黒)が、上と下では左右に入れ替わります。この変わり身の絶妙さが、〝霊界〟と現実世界の道徳に当てはまります。ということは、現実世界で単純に「悪だ」と決めつけても、〝霊界〟へ行ってみたら素晴らしい善だった、ということがあるのです。殊に原理の行なっていること(社会悪)は全部がこれに該当します。一方、私たち〝反対牧師〟のやっていることはこの世では善でも、〝霊界〟では赦されざる真黒な罪悪です。原理はうわベ(現実)にまどわされることなく、深いところ(霊界)で善悪を判断します。この8の字思考は、我々凡人に「人の思い」と「神の思い」が気が遠くなるほどに隔絶していることを悟らせてくれるのです。原理の8の字思考の世界では、霊界とこの世は、善と悪が一八◯度に入れ替わります。

例えば、うそにしても、〝食口〟(統一協会会員)は「うそも、その動機が天(神)の側の目的のためかどうかで(上か下かで)、右が左に、左が右に、善と悪とがそのところを変えるのです。〝霊感商法〟でさえ、「見えるこの世(8の字の下の形状部分)では悪でも、動機が〝地上天国建設〟にあるので、本質世界である〝霊界〟(8の字の上の部分)では善となる」のです。このように「この世の悪」がスルリと「霊界の善」に入れ替わるのです。

この回線に乗っている限り(この回線の中にいる自覚も本人にはありませんが)、なめらかにスルリ、スルリと変化していくので、本人はその変化の矛盾にまったく気づきません。なにしろ『原理講論』によると、現実世界(有形実体世界)は、〝霊界〟(無形実体世界)の影のような存在です。ですから、「〝霊界〟が主体であり、この〝霊界〟の深い意味こそが宗教の奥義なのだ」と錯覚します。だから〝食口〟は、一方では「神さまが受け取ってくださるうそもある」とか、「この世では悪でも〝霊界〟の深い意味では善です」と確信をもって言えるのです。しかも、その舌の根もかわかぬうちに「性相はそのまま形状に現れるんです!」と矛盾することを平気で確信をもって言えるのです。そして、いつもスッキリとしていられるのです。

ですからこの回線の中に入ってしまったならば、できるだけ〝基準を高く〟して、心を〝霊界〟に漂わせておくことが肝督です。現実を見つめると、久米の仙人よろしく〝霊界〟から真逆さまに落ちて、二本の足が現実の大地にしっかり着地してしまいます。すると現実社会での低俗な善悪の判断が復活します。これが彼らの言う「基準の落ちた唯物的状態」で、それを放置しておくと、原理の神への信仰が失われかねません。この素晴しい統一協会に留まるためには、あわててもう一度自分に思い込みをかけ直さねばなりません。だから自分たちの行動についても現実に添った考えは困るのです。彼らはよく「人情よりも〝天情〟に徹するのだ」と言います。人情は現実社会に属します。だから唯物的で基準が落ちます。原理青年が、両親の前で感情を圧し殺し能面のようになっている時は、彼らにとって危険状態です。うっかり親の愛情を感じてしまったら人情に負けます。「文鮮明先生よりも父母を愛するものは先生にふさわしくない」と彼らは聖書(マ夕イ一◯章三七節)を読みかえています。そして貝が固く殻を閉ざすように心を閉ざし、顔を引きつらせているのです。目ばかりキラキラさせている時は、〝霊界〟を見つめ、大きなヴイジョンを夢見ている時です。彼らが基準を高く保っていられるのは、善と悪がそのところを変えてしまう不気味で神秘的な〝霊界〟があるからこそです。だから「自分たちこそ、深い意味で正しいことを行なっている」という満足感があります。このように矛盾なくスッキリしていられるのは霊界の協助のお陰だと思っている〝食口〟が多いのですが、その意味では正にその通りだと言えるでしよう。

106
8の字回路ヘ入る秘訣十カ条
では、善悪の観念が現世と一八◯度に違う霊界を信じていないごく普通の人々(8の字の外側の住人)は、どうしたらこの原理思考回路の中に入れるでしょうか。チケットが必要です。それなしに無断侵入したら最後、8の字ですから入口も出口も見えず、足許は不安定にすベり、自分の居る場所も絶えず上下左右に変化する五里霧中の中をオロオロし、ついに久米の仙人のように8の字の底辺に落ち込むか、外にハミ出してしまいます、ですから、「8の字入場チケツト」は必ず入手してください。

では、その8の字思考ヘの入場チケットとしての秘課十ヵ条を初公開します。これは「原理の民」となるベく与えられた、モーセの十戒に匹敵するほどの貴い教えです。成文化はされていませんが、8の字の荒野路程の試練に耐えている人々は、これをよく〝体恤〟(体得)しているのです。

①この際、ヘンな見栄をかなぐり棄てて、捨て身になることです。②教養は邪魔です。特に原理思考の中に教養は御法度です。③世間ズレも禁物です。人からだまされた経験は忘れて下さい。④単純な幼な子の心を取り戻して下さい。⑤視野は狭く(広いと矛盾に気づき、迷いを生じひたむきになれません)、⑥すぐその気になれる気のよさ、⑦〝霊界〟の存在をも言われるままに信じられる単純で素直な心を持つことです。⑧そしてその上で「思い込んだら命がけ」という若者の情熱をたぎらせることです。これがあれば猪突猛進できます。⑨そしてこれが一番大切な条件になりますが、どんなことがあっても「なぜ?」「どうして?」という面倒なことは絶対考えないことです。論理的思考もダメです。ですから哲学書など読んで考える習慣を取り戻してはいけません―もっとも考える習慣を失った大学生〝食口〟たちは、いずれも哲学の点数がかなり低いようですが―。まして学問的探求心をおこして客観的対象として原理を観察し研究する態度は困りものです。けれども、よくしたものでみ旨をやり出すと(伝道・経済に従事すると)睡眠不足で考える時間もなくなり、自然と、考えない心情だけの人間が生み出されていくシステムになっています。原理の世界では神は実感すべきもの、実感することが、一番大切です。
⑩その上で〝地上天国〟というバラ色の光を全身に受けて下さい。現実的に考えるのではなく、ただひたすらにそのヴイジョンに心情でのめりこんで酔いしれてください。やがて心の中に輝くような希望の光が差し込んでくるようになり、その大きなヴイジョンの夢の中を歩むことのできる心情だけの人になりきるようになります。
心構えはできましたか。では、そのままでソーッと、地に足をつけないようにフワフワと、なるベく〝基準を高く〟して浮いていてください。「8の字型思考」の準備完了です。内容に入ります。

楽しく学ベる「原理の神さま」について
原理の神は「デンチゼンノウの神」なのです。これは〝食口〟との授受作用(会話)の中で誕生した名前です。

発音はキリスト教の「全智全能」に似ていますが、まったく「似て非なるもの」であることを銘記して下さい。漢字では「電池全能」と書きます。原理の神は〝食口〟手づくりの「5%印の電池」を入れないと作動しないので、こう名付けられました。名は体を表すかどうか疑問です。というのは天地創造以来今日までの六千年(?)間、五パーセントの〝責任分担〟を果たした人間は皆無だからです。(人類救済には神の九五パーセント、人間の五パーセントの〝責任分担〟が必要ですが、何しろ人間の五パーセントは神の目による五パーセントですから、人間にとっては血と汗と涙の一◯◯パーセントの努力をしても達せられないからです)。「5%印の電池」は現段階では幻の電池ですから、神さまがそれで作動するのか、原理原則通りに動くかの試運転は未済です。その点では幻の〝日韓トンネル〟と同じように、成功するか否かは大きな謎として残されています。

ここまで読んできて「なぜ五パーセントなのか」、「どうして神が〝条件〟で動くのか」など考え始めた人は、オチコボレる危険があります。今一度初心に戻って、言われたことはそのまま信じる幼な子の素直さと、この可哀そうな神をお慰めしたいという心情をしっかり身につけておきましよう。

さて、神の性質をよく理解していただくため、デンチゼンノウの神の名の由来をお話しします。ご存知と思いますが、一九八五年は統一協会の〝摂理〟完成の年になるはずだったのですが、毎度のことながら「5%印の電池」を完成することができず失敗しました。当然、その原因は日本人〝食口〟が〝責任分担〟を果たせなかったことにありました。(ここでも「なぜ日本の〝食口〟だけの責任か」と考えたらオチコボレます。)そしてその年の八月、あの日航機事故が起こり、五◯◯人以上の尊い命が失われたのです。日本の統一協会では「日本人〝食口〟が〝責任分担〟を果たせなかったために、その〝湯減〟条件(罪ほろぼし)として多くの善良な人たちばかりが神の祭物(供え物)になった」と解説し、それはかなり広範囲の〝食口〟たちに流されました。何しろ教義では〝霊界〟が本質(性相)であり、対象(形状)であるこの世は〝霊界〟の影響下に置かれているわけですから、このような大事件が起こると〝霊界〟の事情(因縁)を考え、これは〝湯滅〟なのか、〝サタン〟に撃たれたのかと考え悩みます。ですから日本統一協会の幹部は、この大事故を前にして「〝霊界〟と日航機事故の関係」を何とか説明しなくてはならない破目に陥ったのでしよう。

ついこの間のことですが、〝食口〟との会話の中で〝蕩減〟をめぐって話を進めていくうち、この「日航機事故を〝蕩減〟と見ることの是非ーにまで話が発展してしまったのです。私は大地をしっかり両足で踏みしめて(体重はかなりあります)、歩んでいるオチコボレ牧師ですから、私との対話で、「なぜ?」「どうして?」を考えたことのない〝食口〟が四苦八苦したことは言うまでもありません。だからこそ「〝反牧〟対策講義」では、「反対牧師と決して〝相対基準〟を結んではいけない」ということが金科玉条とされているのです。うっかり〝相対〟(話し合う)すると、オチコボレて久米の仙人になって8の字の頂点から真逆さま、8の字の底辺をつき破って、この現実世界に戻ってしまうおそれがあるからなのです。

川崎「あんまりじやないですか。これじやあ神様の八つ当たり〝湯滅〟ですよ。事故で亡くなった方方に対しても、こんな無神経な発言をする統一協会に激しい憤りを感じます」

食口「果たすベきことを果たさなかったのは統一協会の責任ですけど……。〝サ夕ン〟がいて、〝サタン〟が神さまに『果たすべきことがまだ足りない』って〝ざん訴〟してくるんです。〝サ夕ン〟は人間に手を下す権カを握ってるんです。神さまは人間を生かす力を持っています。けれど神さまの側では人間の五パーセントの〝条件〟が足りないから、神さまは手も足も出せないのです。だから神様は『じゃ、しようがない』って、〝サ夕ン〟のなすままに任せられるんです」

川崎「エーッ?!〝サタン〟『神様、あなたの方の条件が足りないから五◯◯人ほどの命を貫いますよ』と言うと、神様はあきらめてただ悲しそうに『じゃ、しようがないや、取って行きなさい』って言うの?」

食口「神様はね、責任放棄したってわけじゃないんです!五パーセントなかったから働きたくても〝条件〟がないので仕方なかったんです!」

川崎「じゃあ、根本的な第一原因は統一協会の〝食口〟なのね。事故原因の調査をいくらして万全を期しても無駄ね」

食口「あー、事故原因調査は唯物的ですね。本当は〝霊界〟の〝サ夕ン〟の働きだから、事故は神様でも防ぎようがなかったんです」

川崎「だけどね、事故原因カ解明されると、責任を取って罰せられる人がでるわけだけど、その人たちこそいい迷惑ですね。無実の罪で罰せられて、罰せられるはずの〝食口〟たちはみな知らん顔でしよ。〝食口〟たちは『あれは日本人食口たちの〝蕩減〟の供え物だよ』って冷ややかに見ているだけなのね。統一協会は被害者の人たちや無実の罪を負う人たらに、どういう〝蕩減〟をしたの?」

食口「……」

川崎「ここまでの話をまとめてみると、①日航機事故の惨事の原因は〝食口〟の怠慢である。②その責任を間われ無実の罪で刑に服す不幸な人たちを生み出したのも統一協会である。③しかも統一協会は責任を取らない。結論としては、統一協会が存在するために地上地獄が広がった!ってことね」

食口「だから、そういう不幸な人が出ないためにも五パーセントの〝責任分担〟を果たすことが必要なんです!」

川崎「そして果たせない時には、何かの〝蕩減〟が必要となり、また不幸な人たらが出ることになるんじゃないんですか?」

食口「……」

次に日訪販中部所属の〝マイタロ隊〟の車の事故へと話題は発展していきました。

食口「じゃあ、今度は私から聞いてもいいですか?先生は尾鷲市での訪問販売車の佐野隊の事故を、どのように見ているんですか?」

川崎「あの原因は、完全にひどい睡眠不足ね。修練目標に『目標貫徹に対する執念の向上』『〝中心〟と一体化の生活』ってあったでしょ。〝中心〟(店長)は少しでも多く売り上げて〝実績〟をあげることだけ考えてますよね。だから店長と一体化した各マイクロの隊長も、なんとか他の隊より〝実績〟をあげたくて、結局は販売競争よね。一番になればご褒美が貰えて讃美を受け、〝人事〟で栄転するんですよ。それがエスカレートしていくんです。本当に残酷極まりないやり方ね」

食口「睡眠不足とか残酷だとか言うのは、すごく唯物的な表面的判断です。これは私の考えですけど、いくつかの『霊的原因』が考えられますね。一つは〝マイクロ隊〟の中に不信仰な〝食口〟がいた可能性です。もう一つは、日航機事故と同じように日本の〝食口〟の働きが足りなかったので、〝サタン〟に撃たれた可能性です。〝サタン〟はいつも最前線を撃ってきます。マイクロはお父さま(文鮮明)がいつも『これは信仰の鍛練になるからどんなことがあってもマイクロはやめてはいけない』とおっしゃっている特別のものなのです。それに日訪販中部は全国でも優秀で、その中でも成績優秀だった佐野隊が撃たれたのだから……。やはり日本の〝食口〟の五%なのかなあ……」

川崎「もうこの辺で整理して〝蕩減〟の意味をわかり易く説明してみてください」

食口「要するに、果たすべき責任を果たしていない時は〝サタン〟が〝ざん訴〟してきて、それに対して神さまは手も足も出せないんです」

川崎「五パーセントないと神さまはダルマになってしまうのね」

食口「違います!神さまは決して人間を殺したり苦しめたりしたくはないんです。わかりますか。だけど人間の〝責任分担〟が果たされていないからなんです。だから『殺されても仕方ない』と……。見放してしまうわけじゃなくて……どうすることもできないんです。だから私たちは神さまの五パーセントのために頑張っているんです!

それからもう一つは、人間が罪を犯した時―というのは〝サタン〟が働くから人間は罪を犯してしまうのですが―神さまは人間をただ(無償)でゆるすことはできないんです。だから〝サタン〟に〝ざん訴〟されないためにもルールに従った〝蕩減〟が必要なんです」

川崎「〝ざん訴〟という言葉の意味を辞書で調べてごらんなさい。違う別の意味にこの言葉を使うのだったら、まずきちんと定義づけしないと、一般の人は頭がごちゃごちゃになってしまいますよ」

食口「(辞書を引き首をかしげる)とにかく〝ざん訴〟の意味が違うことはわかりました。だけど……神さまは〝サタン〟が〝ざん訴〟してくる時、決して逃げたりしません。神さまが正々堂々と〝サタン〟を屈服させるために人間に大きな〝蕩減〟をさせるのです。それが人間の五パーセントの〝責任分担〟なんです!」

川崎「神さまは『5%』というガソリンか電池が必要で、それなしではダルマなんでしょ。全智全能ではないのですね」

食口「デンチゼンノウです!―あれーっ、デンチじゃない、全智……。でも電池で動く神なのか……?」

川崎「人間が一〇〇パーセント努力しても神の五パーセントに達しないのだから、無理して頑張ると睡眠不足でまた実績優秀な最前線が、尾鷲の事故のように〝サタン〟に撃たれるし、そして五パーセントが果たされないと日航機のように〝祭物〟として血祭りにあげられるし……」

食口「神がデンチゼンノウとわかったのですから、私、もっともっと頑張ります!神さまは六千年も泣いていらっしゃるんですから……。〝霊界の協助〟があれば、〝日韓トンネル〟でも何でも、あっという間もなく、すぐできちゃうんですから!」

川崎「〝霊界〟というのが働いたら、五パーセントはとっくの昔にできていたんじゃないの。その霊界とやらが問題ね。神と〝サタン〟が対等の立場で〝条件〟の奪い合いの綱引をしていて、神は五パーセント足りないばかりにすべてを奪われるばかりで……。神側の〝霊界〟はこの世界に何の影響も与えられないのよ。そればかりか〝サタン〟が撃ってくるのも止められないのよ」

食口「だからルールにしたがって五パーセントが必要……」

川崎「でも〝サタン〟が邪魔をすると、神も五パーセント足りないので助けてくれないでしょ……」

食口「でも……そう教えられたし、そう言われてきて、みな頑張っているんだから、私、疑ったら不信仰になっちゃうんです!」

この「8の宇型思考回路」のジェットコースターに乗った気分をお楽しみいただけましたか。足許がフラフラしてまだ宙に漂っているその実感が大切です。原理では「〝基準が高い〟」と賞めてくれます。また現実に戻って「なぜ?」「どうして?」と考えると〝基準が落ち〟て、地に足がつき始め、唯物的になりオチコボレるのです。もう少しデンチゼンノウの神との関連で、8の字ジェットコースターを観察しましょう。

電池と注射
原理は、ある時は「神は全智全能です」と確信をもって断言します。「エーッ!ウソ!!」とお思いでしょ。その通りです。頭の中で神を8の宇の頂点にもっていっただけで、幻想です。実際には原理の神は8の字の底辺に留っています。そして原理原則に従って六千年(?)間も「5%印の電池がほしいヨーッ!ほしいヨーッ」と泣き続けています。この可哀そうな神をお慰めするよい子女となることが、「食口」の正しい生き方なのですから。

この「8の字の底辺にいます幼な子なるデンチセンノウの神」を完全に裏付ける決定的で貴重な資料があります。文鮮明の説教です。この有難い説教の中で、文鮮明は「デンチゼンノウ」という言葉こそ使っていませんが、「チュウシヤトロケの神」として誰にでもわかるすぐれた解説をしています。

この説教は『刺激と冒険』という題で一九七八年四月ニューヨークのベルベディアでなされたものです。〝食口〟たちが毎朝ホームの祈祷会で眠気と闘いながら、有難く輪読している文鮮明の説教集『御旨と世界』(光言社発行)の中から抜粋させていただきました。

また「なぜ?」「どうして?」と唯物的に考えることをせず、オチコボレないように、書かれてある通りを素直な真実な心で受けとめて下さい。「信じられることを信じても信仰ではない。信じ難いことを信じるから信仰なのだ」と内部では繰り返し繰り返し、盲信と狂信が勧められているではありませんか。どうか、有難くつつしんで読んで、ただ〝心情″だけで信じて下さい。

愛の注射をうとう
五つの民族、白人、黒人、黄色人等の五つの民族から愛の注射を、天の父は待っています。ある者は足に、ある者は手にと、天の父の体全体に注射をうちます。するとすぐに、天の父の体は溶けていくでしょう。天の父の大きな体を考えてごらんなさい。この方法以外に、天の父を解放する道はありません。天の父は、それを喜ぶでしょうか。それとも失望するでしょうか。凍った神の心や体は、溶けて動きだします。手から氷が溶け、砕かれ、体の機能が規則正しく動きだし、血液の循環が始まり、顔には微笑が浮かぶようになり、そして輝きだします。凍りついた神が、今、溶けていくのです。すべての細胞かよみがえっていきます。神は踊りだすでしょう。踊りのステップは、アジアに、そしてアメリカに、太平洋にと地球の上を踊り歩くでしょう。その時、初めて天の父は、春の時を迎えるのです。……ですから、あなた方は個人的に、天の父に注射をしなければなりません。腕でもどこでもいいのです。すぐに天の父の腕は、注射する余地がなくなるかもしれません。……

しかし、その愛の注射は、〝サタン〟の愛の要素が入っていてはいけません。清い愛が必要です。あなた方は、天の父の外科医になるのです。その愛の注射をうつために、天の父に向かって、「私の言うことを聞きなさい」と言わなければなりません。では、その注射は、どこでうつことができるでしょうか? 怠惰で安易な場所でなされますか、それとも、困難や迫害のある所でなされますか? なぜ、そのような場所が最高なのでしょうか? なぜなら、あなた方が、神に注射をうとうとする時、〝サタン〟がそれを見つけて邪魔し、代わりに自分のサタン的注射をしようとするからです。
(『御旨と世界』六六三-六六四ページ)

過去にも、こんなスゴーイ人間讃歌はなかったことでしょう。人間が神に対して、こんなにも大きな力をもっていたとは!!「その愛の注射をうつために、天の父に向かって『私の言うことを聞きなさい』と言わねばなりません」文先生は私たちにハッパをかけます。まるで親がわきまえのない幼な子にするように、神に命令しなくてはならないのです。私たち人間の言うことを聞かなければ、神は手も足も出せないダルマどころか、魚河岸に並ベられた冷凍のマグロみたいなものなのです。「エーッ!こんなこと信じられない!見えない〝霊界〟が主体で、この世は霊界の影響下にある対象だったはずだ!」など理屈をこねてはいけないのです。きっと神は〝サ夕ン〟と格闘し、KOされ完全にダウンしたまま六千年(?)も凍ってしまったのでしよう。だからこそ、「食口手づくりの5%印電池」すなわち、文鮮明先生の仰せになる「愛情の注射」で蘇生させなけれぼならないのです。

落ちこぼれそうなあなたに
さて、今、引用させていただいた説教のちょっとした抜粋だけで、すでに目を回している読者もおられることでしよう。でもこんなことで目を回しては、ジェットコース夕ーに乗り続けられませんよ。文先生にとっては、このぐらいの説教は日常茶飯事で、もっと卒倒しそうな説教は他にもたくさんあるからです。これが文先生の説教の魅カでもあります。

このようにいくら私が励まし続けても「いくらなんでも……これじゃ8の字思考はしていられない」とオチコボレそうになっている霊的瀬死のあなたに、文鮮明先生は深い大きな愛のみ心をもって、厳しくそして激しく「文先生の治療を受けよ」とおっしゃいます。心を開いて素直に文医師の治療を受けて下さい。そうしたら、あなたの8の字思考は再び復活し、前にもまして8の字の中をひたすらに歩めます。そして素晴しい〝食口〟が誕生します。次の説教の抜粋をよく読んで文先生の注射を受けるのです。

私は今、天の父の愛の注射をあなた方にしているのです。その中身は、韓国産です。それは緯国で手作りされたもので、その容器は古く、針はさびついており、注射をする時は難かしくて痛いのですが、その中身は神の愛であり、生命を与えるものです。注射をする時は痛みを感じますが、それでも神の愛をうち続けなければなりません。注射をうつと、すベてが良くなります。私は、それを保証します。神の愛が、あなたの体の中を、血となって流れるのです。そして素晴しいムーニーが誕生します。
(『御旨と世界』六六二一六六三ページ)

こうして素晴しい〝食口〟(米国ではムーニーと呼ぶ。〝食口〟だと病気と間違えられる)になり、8の字思考の中に組み込まれた時、人はこわいもの知らずになれます。度々お話しするように、論理も判断も、心に何の抵抗もなく上下、左右に自由に入れ替えられます。人を苦しめたり悪を行なうように命じる霊界を至上のものと信じても、矛盾はありません。一酸化炭素中毒も部屋の中にいる人はなかなか気づかないうちに起こるのと同じです。8の字思考はそれほどになめらかなのです。そして、次には神ではなく、あなたの良心が冷凍マグロのように力チン力チンにすっかり凍りつくのです。

まとめ
〝食口〟たちにとっては、ウソを言うことも、〝霊感商法〟も、神のための「5%印の電池」作製のやむを得ない手段です。それに相手にどんな莫大な損をさせても、〝霊界〟で救われるから善なのです。その時と場所、置かれた環境で、口から出まかせに答えているように見えても、それは本人の良心が凍りつき、その上に足許がツルツルすベって、上下、左右にとりとめなく動くからなのです。

ここまで『原理講論』をどのように読めばよくわかるかを詳しく説明したつもりです。この「8の字型思考」をしっかり身につけていけば「創造原理」「堕落論」等々、あとは自分で楽しく読めるはずです。ビデオ受講も、もし楽しくやりたければ、ビデオセン夕ーから貸し出してもらって(ビデオセン夕ーの所長に信頼されないと貸し出してくれません)、「8の字思考」がお好みなら、フワフワ気分で「8の字思考」ヘの入場チケットとしての秘課十ヵ条を守って下さい。そして唯物的な考え方が入らないようにひとりで部屋に閉じ込もって見るのです。8の字の外側に出て客観的に見たければ、家族全体で、あるいは複数の友人と共に見て唯物的意見や批判(8の字の下の現実世界での意見)を述ベ合って下さい。ここに書いた以上の楽しい結果が次々と出て、思わず笑いに誘われるでしょう。

『原理講論』をはじめ、統一協会系の本や雑誌などが一般書店に並ベられていないのも、世の中には「秘訣十ヵ条」を守る気になど、さらさらなれず「8の字思考」の外側、つまり正常な判断をしている俗人があまりに多いからです。その俗人たちが勝手に唯物的に、客観的、批判的に読んだら、面白いのと馬鹿らしいので評判になり、統一協会の存続それ自体が根元からゆすられるに違いありません。『原理講論』のそれほどの愚かさをよく承知していて恐怖におののいている幹部がいるのかも知れませんね。その幹部こそ、きっと地に足がちゃんとついていて利害と打算で純真な〝食口〟を操っている腹黒いグル一プなのです。

ここまで、馬鹿らしさに耐えて読んでくださった読者の皆様、ご苦労さまでした。
この一文が、原理青年をわが子に持つ親たちに、わが子の気持を理解する助けとなることを願っています。

以上、「8の字型の原理思考回路」について、つれづれなるままに、ひねもす机に向かってため息をつきながら書き綴ってみました。


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