統一協会の責任を認めた判決の概要

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統一協会の責任を認めた判決の概要

2016年1月13日時点

東京地方裁判所平成28年1月13日判決
東京高等裁判所平成28年6月28日判決(双方上告せず確定)
現役信者女性の元夫(平成23年10月離婚)が、統一協会(平成27年9月から世界平和統一家庭連合、略称家庭連合と改称)に対し、婚姻期間中、妻に夫の意思に反して夫の相続財産や給与・退職金などを献金させこれを受領したことの損害賠償請求訴訟。平成7年から21年までの148項目の被害主張のうち、地裁は約3430万円、高裁は約3790万円について、統一協会の組織的不法行為を認めた。
地裁は「被告(統一協会)においては、組織的活動として、これまで信者の財産状態を把握した上で、特に壮婦の場合、献金によって夫を救い、夫の家系を救うことこそが信者としての使命であるとして、夫や他の家族の金を拠出するように指示をし、夫の財産を夫の意思に反して内緒で献金する等の名目で交付させていた」とし、「被告においては、組織的活動として、信者の財産状態を把握した上で、壮婦に対しては…夫の財産を夫の意思に反して献金する等の名目で交付させており…組織的な不法行為として原告に対する損害賠償責任を負う」と認定した。
また、高裁は原告男性の離婚について「長年にわたり合計6000万円余りもの預金等を取り崩して費消したことが婚姻破綻の有力な原因の一つとなり…(家庭連合は)婚姻破綻による精神的苦痛に対する慰謝料を支払うべき義務がある」と認定して、この点について100万円の慰謝料支払義務を認めた。

※福岡地方裁判所平成5年10月7日判決(判例時報1483号102頁、
判例タイムズ831号258頁)
福岡高等裁判所平成7年10月31日判決
最高裁判所  平成8年 4月25日判決
(合同結婚式参加者の婚姻無効)

 統一協会の合同結婚式後に入籍した日本人信者男女の婚姻の無効を認めた。婚姻意思の不存在を主張した元信者女性の主張を認容。同種の判決や家裁の審判例は全国ですでに50件を超える。


札幌地方裁判所平成26年3月24日判決
札幌高等裁判所平成27年10月16日判決(双方上告せず確定)
地裁は違法な勧誘で入信させられ、精神的苦痛と経済的損害の賠償を求めた元信者3人に合計約3800万円の支払いを命じ、高裁は双方の控訴を棄却し、地裁の結論が確定。
地裁は「宗教だと明かさない伝道活動で教義をすり込み信者の自由を侵害した」とし、高裁も同旨の判断を示した。


東京高等裁判所平成27年3月26日判決(上告棄却の決定で確定)
昭和58年から平成19年まで24年間、夫や娘らの反対を無視して信者として献金を繰り返した元信者女性の献金等の被害2300万円外の請求を、平成25年11月27日東京地判は、信者らの行為は違法とは認められないと棄却した。これに対し高裁判決は違法性を認めた。しかし、脱会して3年以上経過した提訴であり、時効として請求棄却の結論は維持した。

高裁判決は次の判断を示した。
「被控訴人の教義内容、被控訴人の関係者の伝道内容、指導内容、控訴人の心情、自分の先祖や親族、家族、子孫を救いたいという強い願望、思い詰めてしまう性格、控訴人の上記の常軌を逸した不合理な行動等に照らせば、被控訴人の教義を伝道し、指導する関係者が控訴人に対して被控訴人の教義内容を伝道し、指導した行為は、控訴人の献金に関する意思決定に過度に強力に作用したというべきであり、(中略)上記のとおり控訴人に対して被控訴人の教義を伝道し、指導した関係者は被控訴人の教義の世界に控訴人を呪縛してその意思決定と行動を支配していたのであって、社会通念上相当な範囲を超える違法な行為として評価されざるを得ないものであったというべきである。そして、被控訴人の信者の中に控訴人のような心情、感受性、救済願望が強く、思い詰めてしまう性格のものがいて、被控訴人の教義内容、被控訴人の関係者の伝道内容、指導内容が過度に強力に作用し、前後の見境もなく金融機関から借金をして被控訴人に献金するようになり、ついには他人の権利利益を侵害してまで被控訴人に献金するに至る危険性があることは、被控訴人の組織の主宰者その他の幹部には予見可能であったというべきである。」


①札幌地方裁判所 平成24年3月29日判決
(10番を引継ぎ、伝道・教化活動の違法性を問うた、札幌青春を返せ訴訟第2陣2次訴訟への判決)・元統一協会員原告39名(その他1名)、近親者友人原告23名、合計63名

1 統一協会の伝道・教化活動そのものが不法行為であると認めた。伝道・教化活動が不法行為となる基準として①宗教性の秘匿②特異な宗教的実践内容の秘匿③親などとの絶縁④不安と恐怖による行き過ぎた献金という、他の宗教団体にも適用できる基準を定立した。
2 信徒会とは統一協会の組織の一部にすぎないと、統一協会の責任を正面から認めた。
3 脱会までの献金、物品購入、研修費について、伝道・教化活動と相当因果関係のある損害と認めた。
4 近親者の物品購入の被害のうち、統一協会員のために購入したものを損害と認めた。
5 精神的・肉体的苦痛について慰謝料を認めた。詳細な基準を設け、最高額は771万円。

②札幌高等裁判所 平成25年10月31日判決
元統一協会員被控訴人39名(布教課程の者1名)で合計40名、近親者友人等被控訴人16名、合計56名。37名の元統一協会員被控訴人について統一協会の控訴棄却。他は原判決破棄、被控訴人(原告)らの請求棄却。

1 統一協会の布教・教化課程が被勧誘者に対する違法な行為であることを認めた。違法性の判断基準は一審判決の基準を取り消して、手段が宗教団体であることを殊更に秘して勧誘し、いたずらに害悪を告知して相手方の不安をあおり困惑させるなど、相手方の自由意思を制約する不当なものである場合、目的が利益獲得等不当な場合、結果が相手方の財産に比して不当に高額な財産の出捐をさせる場合という基準に変更された。上記の基準の「困惑させるなど」の中に一審判決の基準を入れ込んでいると読むこともできよう。
 しかし、布教・教化課程の事実認定は、一審判決をそのまま踏襲したので、そこから導き出される違法性の判断基準は、論理的には一審判決どおりのものとなる。
 統一協会員の金銭の拠出(物品の購入も含む)が、統一協会の違法な伝道・教化活動と相当因果関係にある損害であることを認め、書証なしに、月例献金、礼拝献金からすべての摂理献金を損害と認めた。布教・教化に関する支出もすべて維持された。
 信者になった後に信者が購入した定着経済の被害も損害であることが維持された。慰藉料請求についても、認められる根拠・基準がそのまま維持された。最高額771万円も維持された。

2 概括的に評価すると、一審判決の優れた、他のカルト等にも適用できる判示部分を削除して、青春を返せ訴訟の従来どおりの判決に変えたということが言える。
 問題点としては、連絡協議会を実在するものとして認定していることが一番大きい。

3 近親者原告についての請求を一審判決が認めた部分(本人のための支出)についても全て棄却した。

4 統一協会員被控訴人40名中38名が脱会通知後3年以上経過してからの提訴で、統一協会は時効を主張。判決は時効の起算点を前回青春を返せ訴訟の判決確定の日としたが、前回訴訟に証人として出廷した被控訴人2名、陳述書を提出した被控訴人1名、合計3名について「加害者と損害を知っていることにつき特段の事情がある」として時効の成立を認めた。


福岡地方裁判所 平成23年2月28日判決
福岡高等裁判所 平成24年3月16日判決(確定)
(親族の資金を含む献金勧誘の違法性)

 2000年4月高齢の資産家の養母が心臓手術の為に入院中であることを知った亡養父の姪(沖縄教区の信者)が沖縄教区の幹部と共に病院前のホテルに結集し、原告(当時40歳代の養女)に対し、「養母は先祖因縁の為に病気で苦しんでいる」「養母の因縁は重いので聖本10冊を家に入れなければ養母の命は助からない」等と述べて、①一気に養母名義の預金から3億円を献金させ、②更に、4年間にわたり、合計約6500万円、③5年後に約7000万円を献金させたとして、約4億9000万円の賠償を求め2007年3月提訴。
 一審は「娘がウツになる」等の著しい因縁トークがそのまま速記されたメモで立証できた③の献金についてだけ認容し、その他の請求を棄却。
 控訴審では①と③の合計3億9000万(慰謝料800万、弁護費用1800万を含む)を認容する逆転勝訴。双方上告せず確定。