韓国に渡った統一教会日本人女性信者の実態

韓国に渡った統一教会日本人女性信者の実態


このサイトの管理者は、韓国に住んでいる統一教会女性信者たちについての理解を深めていただくために、『宗教と現代がわかる本2011』に掲載された、中西尋子 Mrs Nakanishi Hirokoによる記事を紹介します。記事の題名は『韓国に渡った統一教会日本人女性信者の実態』といいます ( 188-197ページ ) 。

この記事をより深く理解していただくため、ページ最下部には4つのリンクを載せましたので、併せてご参照ください。掲載元の書籍情報も最下部にてご覧になれます。


一九九二年八月、ソウルのオリンピックスタジアムであった統一教会の合同結婚式のことを覚えておられるだろうか。桜田淳子、山崎浩子が参加を表明したことでワイドショーや週刊誌がこぞって取り上げ、過熱気味の報道が続いた。このときの合同結婚式は「三万組国際合同結婚式」といわれ、一三一ヶ国、三万組のカップルが結婚したとされる。桜田淳子、山崎浩子ばかりに注目が集まったが、ほかにも大勢の日本人が参加した。結婚は日本人同士とは限らず、日本人と韓国人の国際結婚も多数あり、韓国人男性の妻となって渡韓し、韓国に暮らす日本人女瓦信者は、統一教会によれば現在およそ七OOO人になるという。
統一教会は恋愛結婚を否定している。結婚する相手は教団によって決められ、どこの誰ともわからない、人柄も性格もわからない、恋愛感情もない相手と結婚することになる。信仰ゆえの結婚とはいえ、好きでもない相手と言葉や生活習慣の違いを超えて家庭を築き、韓国で暮らしていくのは並大抵のことではない。これまで合同結婚式後の現役信者についてはあまり知られておらず、韓国人男性と結婚して渡韓した日本人女性信者については、その存在すらほとんど知られていなかったのではないか。なぜ統一教会ではそのような結婚がなされるのか。なぜ日本人女性たちがそのような結婚を受け入れ、韓国での生活を続けているのか。筆者のこれまでの調査をもとに、その実態を報告したい。

統計に見る在韓日本人女性の数
韓国人男性と結婚して渡韓した日本人女性信者が本当に七〇〇〇人もいるのかと思われるかもしれないが、韓国や日本の統計で在韓日本人の数を見ると女性が男性よりもかなり多く、実際にこの数字に相当するだけの女性がいるのかもしれないと思えてくる。
表1は韓国の国勢調査(「統計庁『二〇〇〇人口住宅総調査報告書』)から作成した男女別在韓外国人の人数である。ほとんど全ての国で女性よりも男性が多いのだが、日本だけ女性が男性の一·三四倍もいる。表2は地域別の在韓日本人人数である。男女比を見るとソウル、釜山、済州島を除いた地城で女性が男性よりも多い。男性の七割がソウルと釜山にいるのに対して、女性は逆で六割以上がソウルと釜山を除いた地域に住んでいる。表3は年齢階層別の在韓日本人の数である。二五~二九歳、三〇~三四歳、三五~三九歳の女性が男性の二~三倍いる。二〇〇五年版の国勢調査を見てもほぼ同様の傾向が確認できる。

表1  男女別在韓外国人の人数

表2  地域別の在韓日本人の人数

表3  年齢階層別在韓日本人の人数

統一教会の教義
教えは教典『原理講論』に基づく。聖書を独自に解釈し直し、人類の堕落の原因からメシヤ再臨の預言を記したものである。人類の始祖をアダムとエバとする点はキリスト教と変わりないが、エバがヘビ(サタンの隠喩)にそそのかされて『善悪を知る木』の実を食べたという聖書の記述を、統一教会はエバとヘビが不義の関係を結んだと解釈する。自分が犯した罪に怖くなったエバはアダムを誘惑し、二人はまだ未成熟であったにもかかわらず関係を持った。神の言い付けを守らず、時ならぬ時に夫婦関係を持ったためにアダムとエバは堕藩した(いちじくの衆で腰を隠したのは下半身で罪を犯したからだという)。これが原罪である。ヘビと交わったエバがアダムと夫婦になることによって人類にはサタンの血統が受け継がれ、この世はサタンが支配する世になったという。人間が憎しみ合ったり戦争をしたりするのは、すべてサタンの血統によるとされる。
統一教会の目指すところは、サタンが支配するこの世に神の支配を回復し、理想世界「地上天国」を築くことである。そのために男女が血統転換をし、神の血統を持った子孫を産み殖やすことが必要とされる。合同結婚式はそのためにある。文鮮明夫婦が司る結婚式で結婚することで男女は血統転換をし、原罪が清算される。生まれる子供は無原罪の「神の子」とされる。

韓日祝福が行われる理由
①日本と韓国の歴史的関係
ではなぜ日本人女性と韓国人男性のカップリングが行われるのか。統一教会の説く地上天国は、国家、民族、宗教が垣根を越えて一つになった平和な世界とされる。国や民族の壁を越えるという点から国際結婚に価値がおかれ、とくに歴史的に不幸な関係にあった国や民族同士の結婚ほど理想的とされる。日本は朝鮮半島を三六年間にわたり植民地支配した。そのために日本人と韓国人は最も理想的なカップルとされる。
もう一つ、霊界の存在がある。統一教会によれば、人は死後、霊人体(霊魂)は霊界に行き、永遠に生きるという。霊界には天国と地獄があり、どちらに行くかは生きている間にどれだけ蹟罪をし、霊人体を善化したかによる。人間には原罪、遺伝罪、連帯罪、自犯罪の四つがあり、原罪は合同結婚式で結婚することによって清算されるが、遺伝罪、連帯罪、自犯罪は残る。これを生きているうちに清算しなければ、霊界の地獄に行く。日本人はみな、朝鮮半島を植民地支配したことを遺伝罪や連帯罪として背負っているとされ、韓国に嫁いだ日本人女性信者は夫や夫の家族に尽くすことでその罪を清算しようとする。統一教会が日本だけで霊感商法を行うのも贖罪させるためである。

②農村男性の結婚難
さらにもっと現実的な問題もある。韓国農村における男性の結婚難である。韓国は一九六〇~七〇年代に急速な経済成長を遂げたが、一方で農村は経済発展から取り残された。女性は農村男性との結婚を好まず、一九八〇年代になると農村男性の結婚難が社会問題化する。『東亜日報』には“農村独身男性を結婚させよう”忠清地方 仲立ち運動」(一九八九年五月一三日)という記事が見られる。農村男性の結婚難解消のために農村運動専門家と行政が協力して支援に乗り出したという記事だが、それによれば、結婚できないことを悲観して自殺した農村の青年は一九八〇年代に入って三〇〇余名に及ぶとある。韓日祝福の本格化は一九八八年。結婚難の社会問題化と韓日祝福の本格化はほぼ時を同じくする。


図I A郡の街中に貼られていた結婚相談のチラシ(右は日本語訳したもの)


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短期大学以上の学歴
身体 ・ 心の健康な方
職業がた しかな青年 (30歳前後)
(既婚独身は男 ・ 女ー60歳以下)
純潔な価値観の理想的な配偶者

結んでさしあげます。

真の家庭実践連動   ◯◯委員会
相談電話
相談員



A郡の農村にある統一教会の教会

統一教会は韓国では布教の一環として結婚相手の紹介を行い、独身男性や未婚の息子がいる親が結婚目的で「にわか信者」になった。結婚目的だから信仰はないか、あっても熱心ではない。図1は筆者が調査をしたA郡で見つけた結婚相談のチラシとその訳である。「真の家庭実践運動○○委員会」は統一教会関連団体である。これと同様のチラシは他にもあり、相談先の電話番号はA郡にある統一教会の番号だった。
韓国では二〇〇〇年代になると農山漁村の男性と外国人女性の国際結婚が急増し、『朝鮮日報』などで記事検索をするとしばしば国際結婚の増加ぶりを伝える記事が見られるようになる。『慶尚北辺の農漁村男性、五割が国際結婚』(『朝鮮日報」二〇〇七年一二月三日)という記事もある。近年増加する国際結婚は統一教会と関係のない相談所によるものであり、中国、ベトナム、フィリピン、モンゴルなどの女性との結婚だが、統一教会はこれに先駆けて韓国人男性と日本人女性の国際結婚を推し進めたといえる。

韓国における統一教会
農村男性の結婚難は日本でも見られ、東北地方の農村男性が東南アジアや中国の女性とお見合いをして結婚している。しかし日本では、統一教会で結婚相手を紹介してもらおうと考える人はまずいない。なぜ韓国では統一教会による結婚が受け入れられるのだろうか。
一つは、韓国では統一教会が日本ほど問題視されていない点が挙げられる。霊感商法や正体を隠しての組織的な布教は行われていないため、日本のように統一教会によって『被害』にあったと認識する人がいない。損害賠償を求めた訴訟もない。たしかに韓国でも統一教会は「異端」「似而非宗教(偽宗教)」とされ、とくにクリスチャンは統一教会を嫌っているが、それは統一教会がイエスの死を「失敗」とし、文鮮明を再臨主とするからである。クリスチャンには到底受け入れられない教えだが、クリスチャンではない人々にとっては大きな問題ではない。
韓国での統一教会問題は、社会問題というよりキリスト教の異端問題であり、一般の人々の統一教会に対する認識は「新宗教の一つ」といった程度である。 もう一つは、韓国において統一教会は宗教団体としてのみならず、数多くの関連団体や会社を持つ企業体として展開している点が挙げられる。建設、リゾート開発、水産、食品、石材加工、旅行代理店、新聞社、学校など多種多様な事業を展開しており、韓国で文鮮明は名の知れた人物である。『朝鮮日報」や『東亜日報』には統一教会、関連団体、会社の動向が記事になるほか、文鮮明についても、例えば北朝鮮に行って金日成と会談した、乗ったヘリコプターが不時着した、九〇歳の祝賀会があった、自叙伝を出版したなど、何かあると取り上げられている。
合同結婚式についても三回目にあたる一九六二年のときから記事になっている。得体の知れない宗教団体であれば人々は警戒するが、韓国での統一教会はよく知られた団体だけに警戒心は弱まる。統一教会といえば合同結婚式、結婚相手の紹介をしてくれるところという認識は韓国社会に定着しており、それだけに人々の抵抗感は少ない。

日本人女性信者たちの暮らし向き
韓国人男性の妻として暮らす日本人女性信者は韓国の津々浦々にいるといってもいいだろう。筆者が調査した場所はソウル、ソウル近郊、郡部の農村の三ヶ所である。三ヶ所とも偶然の出会いや、出会った信者が「会ってみたら」と知り合いの信者を紹介してくれたことがきっかけで調査をしており、こちらから統一教会側に信者の紹介を依頼したことはなかった。出会った信者はほとんど女性だが、ソウルでは男性信者にも会った。
出会った女性たちは一九六〇~七〇年代生まれで、一九九二年、一九九五年の合同結婚式で結婚した人が多かった。出身は北海道から九州までおり、入信前は会社員や看護師(看護学校学生)、あるいは学生としてごく普通の生活を送っていた。
三ヶ所それぞれに信者の暮らし向きは異なっていた。ソウルで話を聞いた信者は統一教会本部や信者が経営する会社勤務、韓国の大学で教員をしている信者だったためか、信者の社会階層としては高い傾向にあり、生活も比較的安定している様子だった。ソウル在住の信者がみな社会階層的に高いというわけではなく、たまたま話を聞いた信者がそのような人たちだったとみたほうがいい。じっくり話を聞くまでに至らなかったが、ソウルでは他の信者には会っており、彼女たちに話を聞くと、次に挙げるソウル近郊や農村の信者の暮らしとあまり変わらないという印象を受けた。
ソウル近郊で会った信者たちはネットワークビジネスのアムウェイの仕事をしていた。統一教会とアムウェイは何の関係もないのだが、一人の日本人女性信者がアムウェイの仕事を始め、周囲の信者仲間を誘った。彼女たちがアムウェイの仕事をするのは夫の仕事が安定せず、経済的に楽でないからである。子供の教育費もかかる。韓国で特別な資格もない日本人女性が家事·育児をしながら働くのは容易でなく、日本語教師をしたくても学歴が日本以上に重視される韓国では大卒でないと雇ってもらえない。アムウェイは容易に始められる仕事だった。
農村で出会った信者たちは農家とは限らず、夫の仕事は会社員、公務員のような安定したものがいる一方で、日雇いのような就労形態も少なくなかった。仕事の内容はトラック、タクシーの運転手、米屋の配達、屋台のピザ屋、建築関係などだった。
夫が失業、転職を繰り返すという話は、農村でもソウル近郊でもしばしば聞かれた。「主体者(夫のこと)は失業しているときが多い。月に給与が三〇万とか五〇万ウォン(およそ三万円)しかないときもある」「(サラ金から)お金を借りている。主体者に仕事がなかったりして収入が不安定だから」「現在は仕事がない。家を建てる仕事をして、次にお米の工場に行ったが、そこがつぶれた。日雇い労働とかいろいろした」「夫はIMF(一九九七年の通貨危機をさす)で失業。その後すぐに仕事がみつかったが、三年勤めて辞めて、ここ二年ほどは入っては辞めるの繰り返し』。
彼女たちの夫が不真面目で働く意欲がないというわけではない。経済発展から取り残された地方は安定した就労場所が限られる上に、彼女たちの夫の世代でも家庭の経済的事情により小学校や中学校までしか行けなかったものがいる。前述のように学歴重視の韓国では、結果として不安定就労にならざるを得ない。韓国全体でみても非正規雇用の割合は五割に達し、日本の三割を大きく超える。都市、農村に関わらず日本人女性信者たちの夫も非正規雇用が少なくないと考えられ、韓日祝福家庭は相対的にみて経済的に安定しない家庭が多いのではないかと思われる。


A郡の中心部にある統一教会のA郡教会

日本人女性信者たちの信仰生活
日本での青年信者、とくに「献身』(学校や仕事をやめて統一教会の専従になること)した信者の生活は、「ホーム」で共同生活をしながら伝道や物品販売などの布教·経済活動に従事する毎日である。結婚して渡韓すると一変し、家庭生活が中心になる。日曜日や水曜日には礼拝に出席するが、あとは土曜日の礼拝堂の掃除、日曜日の礼拝後にみなで食べる昼食の準備と片付け、何か行事があるときは手伝う程度である。通常のクリスチャンとあまり変わらない信仰生活になる。
A郡を例にすると、礼拝には老若男女が集う。農繁期と農閑期で違ったが、四〇~五〇人ほどである。日本では統一教会の信者というと若者か中年女性という印象があるが、長年の農作業のためか日焼けして赤鋼色の肌をしている高齢者もいる。礼拝の形式や内容もプロテスタント教会とあまり変わらない。説教を聴いて統一教会の聖歌を歌う。礼拝堂に十字架がなく、代わりに統一教会のシンボルマーク(統一マーク)と文鮮明·韓鶴子夫婦の写真が掲げられていることを除けば、教会のたたずまいもプロテスタント教会と変わらない。
ソウルのような日本人が珍しくない都市部では統一教会の信者ということはわからないが、農村では「日本人女性=統一教会信者」である。統一教会の信者ではない日本人女性はまずいない。ソウルで大学教員をしている場合、信者ということは隠しているようだが、農村では明かさなくてもわかる。周囲の韓国人も奇異な目で見たりしない。日本人女性信者は農村に嫁いできてくれたうえに、夫や舅姑によく尽くすと評判がいい。舅姑に介護が必要になったら嫌な顔をせずに世話をする。そのためか、孝婦賞(村長や老人会長、地域の人々などの推薦により、郡、農協、赤十字、老人会などの団体が授与する。統一教会とはまったく関係ないもの)を受けるものがときどきいる。


A郡教会の礼拝堂

韓国での信仰生活は、日本でのような布教·経済活動、献金に追われて心身をすり減らすものではない。渡韓してしまえば信仰に反対する親の干渉もなく、農村では好意的に受け入れてもらえる。経済的に楽ではない生活であっても、信仰生活はむしろ日本にいたときより安定したものになる。
しかし、これは筆者が出会った信者に限ってという限定が必要である。出会った信者は在韓日本人女性信者のほんの一部であり、礼拝に出て来られる人である。本当に大変な状況にある人は礼拝に出て来られない。生活に精一杯で時間的、経済的余裕がない。夫や舅姑が統一教会嫌いで(合同結婚式で結婚したにもかかわらず嫌っている人はいる)、妻が礼拝に行くことを嫌がるという場合もある。筆者が信者と出会う場所はまず教会であるから、必然的に会える信者は礼拝に出てくる余裕があり、夫や舅姑が信仰を認めてくれている信者に限られる。

韓日祝福家庭の理想と現実
韓国人男性は再臨のメシヤの国の男性であり、合同結婚式に臨む日本人女性にとってあこがれの的である。在韓の日本人女性信者たちは、あこがれの韓国人男性と最も理想的とされる韓日祝福で結婚し、怨讐を超えた理想家庭を築いたことになる。そしてメシヤの国、韓国で暮らす。教義的には申し分のない結婚をしたはずだが、実態は異なる。
韓国の統一教会は在韓日本人信者を対象に月刊紙『本郷人」を発行している。日本語の情報紙であり、内容は教団行事の報告やそこで語られた文鮮明の「み言葉」。信者の「証し](体験談)、家族問題へのアドバイス記事など多彩である。「証し」からは困難な状況にある韓日祝福家庭の様子をうかがい知ることができる。経済的困難はいうに及ばず、夫の飲酒、暴力、失業、借金、病気、障害、子供の言語発達の遅れ、学力不振、夫婦の不和など多様な問題がみられる。何とか生活できている家庭がある一方で、深刻な問題を抱える家庭もあることがわかる。韓日祝福家庭が抱える問題の根本的な原因は特殊な結婚にある。愛情を確かめあっての結婚ではなく、夫は結婚相手を求めて「にわか信者」になっただけで、夫婦が信仰を共有しているわけでもない。しかも夫たちの多くは韓国社会の構造的な歪みによって結婚相手になかなか恵まれなかった農村男性であり、社会·経済的に安定した階層にはない。
アドバイス記事の論鯛は一貫している。夫に変わることを求めるのではなく、妻が下手に出る、あるいは妻が変わることによって夫が自ら変わるように努力せよ、責任転嫁をしない、理想を捨てよ、などである。解決策のアドバイスというより、妻に忍耐と努力を求めるだけである。さらに夫が『お酒を飲むようになってしまった背景にも、私の国と私の先祖が関与しているということを、はっきりと知らなければならないのです」と日本の植民地支配に原因を求める。
韓日祝福家庭での日本人女性が問題を抱えながらも韓国での生活を続けているのは蹟罪のためである。統一教会用語でいえば「蕩減」で、韓国語のもとの意味は「負債を帳消しにすること」である。忍耐して困難を乗り越えれば乗り越えるほど、その困難も大きければ大きいほど蕩減になるとされる。この教えを内面化すれば、どんな大変な状況にあっても耐え忍ぶことに価値を見出す。結果として日本人女性信者たちはどんな苦労を背負おうとも韓国での生活を続けることになる。

統一教会問題の根深さ
霊感商法や正体を隠した布教は現在でも続いているにも関わらず、最近ではマスコミで報じられることはあまりない。統一教会問題の被害救済にあたる全国霊感商法対策弁護士連絡会の集計によると一九八七年から二〇〇九年までの被害累計は1000億円を超える(http://wwwlk.mesh.ne.jp/reikan/)。金銭的被害だけではない。青春時代を布教、経済活動に費消してしまった青年、家族の幸せを願って入信したはずが莫大な借金を抱えることになった中高年女性、親子·夫婦関係の断絶。統一教会に関わったことで取り返しのつかない損失を被った人々がどれだけいることか。統一教会を相手に損害賠償を求めて係争中の裁判も全国で一三件ある(二〇一〇年三月一五日現在)。日本宣教開始から一〇年ほどで「親泣かせの「原理運動」学生間にひろがる学業放棄や家出」と報じられたが(『朝日新聞』一九六七年七月七日)、相変わらず統一教会は日本においてヒト、カネの収奪を続けている。オウム真理教のような事件を起こしたわけではないが、長期にわたり広範囲の人々が被害にあっているという点で
は統一教会による被害も甚大である。霊感商法、正体を隠した布教は違法、合同結婚式は婚姻の自由を侵害という判決が最高裁や高裁で出ている。それでも統一教会は「信教の自由」のもとに活動を続ける。
統一教会はこのところ盛んに「拉致監禁反対キャンペーン」を展開している。
「牧師や親が信仰をやめさせようと信者を拉致監禁している、信教の自由に反する行為」と主張し、デモやビラまきをしている。二〇一〇年一〇月六日には韓国のSBSで「ニュース追跡 統一教会拉致監禁事件 きよみ一三年ぶりの帰郷」という番組が放送された。どれだけ統一教会の働きかけがあったのかは不明だが、日本における統一教会被害の実態を全く伝えておらず、内容は統一教会側の視点でのみ描かれていた。親が入信した子供に対して信仰を再考させようとして話し合いの場を持ち、説得することを統一教会は「拉致監禁」「強制棄教」と主張する。正体を隠した布教活動、霊感商法など違法行為を続ける教団が「拉致監禁反対」などと言う資格があるのだろうか。
統一教会の日本における活動は、宗教の名を借りて植民地時代の怨みをはらすがごとく、ヒト、カネを奪うだけのものである。
紙幅の関係上、布教や霊感商法の実態には言及できなかったが、それについては『統一教会―日本宣教の戦略と韓日祝福』に詳しい。参照いただければ幸いである。

統一教会
正式名称は「世界基督教統一神霊協会」。一九五四年、ソウルで文鮮明(一九二〇-)によってキリスト教改革連動として始められた。日本では一九五八年から布教が始められ、一九六四年に宗教法人の認証を得た。当時から入信した若者が家出する、親に献金を要求するなどで社会問題化した。日本での信者数は『宗教年鑑」(平成六年版)によれば約四六万人。「統一教会」は教団による略称であり。批判的立場にある場合、「統一協会」と表記。ここでは教団の略称に従う。

合同結婚式
信者の集団結婚式。自分の意思による恋愛結婚はエバがヘビやアダムと適切でない関係を持ったのと同じとされ、教団が結婚相手を選ぶ。かつては文鮮明が男女の七代前の先祖まで遡って相性をみて決定したという。どんな相手が選ばれようと断ることは望ましくない。合同結婚式は一九六〇年の三組から始まった。統一教会のホームページによると二〇〇五年には「四億組第六次」という数も見られる。これは霊界の結婚数を含めた数らしい。

血統転換
サタンの血統から神の血統へ転換すること。統一教会では、イエスは神の血統を持っており、もし結婚して子孫を残したならば、そこから神の血統を持った子孫が産み殖えたはずと考える。しかしそれは果たされなかった。統一教会はイエスの十字架の死は人類救済における「失敗」だったとみる。文鮮明はかぞえ一六歳のときにイエスから啓示を受け、使命を託されたという。文鮮明は神の血統をもった「再臨のメシヤ」とされる。

霊感商法
「先祖があの世で苦しんでいる」「このままでは家族に不幸がある」などと言って人を不安にさせ、解決のためには霊験ある壺、印鑑、念珠などを買う必要があるとして高額で売りつりる詐欺的商法。統一教会は信者が勝手にしていることであり教団は関与していないと主張するが、裁判では組織的関与が明らかになっている。統一教会が霊感商法を行うのは日本だけである。

参考文献
『統一教会―日本宣教の戦略と韓日祝福』櫻井義秀·中西尋子(北海道大学出版会)『青春を奪った統一協会―青春を返せ裁判(東京)の記録』青春を返せ裁判(東京)原告団·弁護団編著(緑風出版)『自立への苦闘―統一協会を脱会して」全国統一協会被害者家族の会編(教文館)『検証·統一協会―霊感商法の実態』山口広(緑風出版)


中西尋子(なかにし·ひろこ)

一九六四年大阪府生まれ。龍谷大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。関西学院大学ほか非常勤講師。専門は宗教社会学。外来宗教の土着化という視点から最近は韓国系キリスト教会について調査中。論文に「『女性性」の回復―ある新宗教教団における集団結婚式参加者たちの結婚と結婚生活」(『ソシオロジ」第一五六号)、「民族と教会―在日大韓基督教会の事例」(『宗教を理解すること』宗教社会学の会編、創元社)など。


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