2022年に出版された2冊の本
一、統一教会との闘い――35年、そしてこれから
二、自民党の統一教会汚染追跡3000日――安倍元首相と教団、本当の関係
統一教会との闘い――35年、そしてこれから
山口広 (著), 佐高信 (著), 川井康雄 (著), 阿部克臣 (著), 木村壮 (著), 中川亮 (著), 久保内浩嗣 (著)
安倍晋三元首相銃撃死事件を契機に明らかになる、深刻な被害実態と密接な自民党との関係
統一教会とは何か、弁護士たちはどう被害者・信者と向き合い、その救済に取り組んできたのか
◎「旧統一教会の解散請求等を求める声明」収録
「私は、文鮮明とその周辺にいる幹部連中、それと日本の統一教会の幹部連中は加害者ですが、それ以外は全員被害者だと思っています。信者たちは、夢中で文鮮明のしもべ、つまり奴隷になって、「文鮮明が言うことが神様の言うことだ」と信じ込まされ、ほんとうに朝から晩まで、文鮮明のために闘う戦士となり、被害者をどんどん作り出している。しかし、あの信者たちも被害者なのです。」(山口広×佐高信[対談]より。山口発言)
●著者紹介
全国霊感商法対策弁護士連絡会
山口 広(弁護士・代表世話人、東京共同法律事務所)
川井 康雄(弁護士・事務局長、田村町総合法律事務所)
阿部 克臣(弁護士・リンク総合法律事務所)
木村 壮(弁護士・東京共同法律事務所)
中川 亮(弁護士・東京共同法律事務所)
久保内浩嗣(弁護士・田村町総合法律事務所)
*
佐高 信(評論家)
◆「刊行にあたって」より
中心的活動の全てが違法とされた特異な宗教法人
著者らが所属する全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、統一協会による霊感商法の被害が多発したことを受け、1987年に、当時、300余名の有志の弁護士によって結成されました。その後、この会は、本当に長きにわたり、統一協会との戦いを続け、多くの裁判で成果を勝ち取り、被害救済に努めてきました。
とくに注目すべきは、これらの裁判を通じて、統一協会が行ってきた信者に対する伝道活動、献金や物品購入に対する勧誘活動、そして統一協会の教義において救いの中核となる、原罪を脱ぐための祝福(合同結婚式)への勧誘のいずれについても違法であるとの判断が確立されている、ということです。すなわち統一協会は、こうした団体としての中心的活動の全てが違法であるとされた、極めて特異な宗教法人ということができます。
政治家の関与の疑い
こうした実情から、我々はその被害根絶の一手段として、長年にわたり、所轄庁である文化庁宗務課に対し、統一協会に対する解散請求やその前提としての質問権の行使を求めてきましたし、名称変更に応じることのないように求めてもきました。それにもかかわらず名称変更が認められてしまったことについては、宗務課に対する信頼が大きく揺らいだものであるとともに、政治家の関与も強く疑われるところとなりました。また、これに先立つ2007年以降相次いだ統一協会関連会社に対する刑事摘発、とくに2009年の新世事件においては渋谷教会、豪徳寺教会に相次いで強制捜査が入ったにもかかわらず教会本体の責任までは追及されなかったことも、やはり政治家の圧力があったとしか思われませんでした。
歴史を振り返ると、かつて統一協会が日本に渡り、日本で宗教法人として認証された1964年の直ぐ後から、世界的な情勢も相まって、共産主義をサタン的思想として敵視する統一協会と日本の政治家とが連携を図るようになり、その関係性は次第に深まっていきました。
その後、国内では1980年代に統一協会による霊感商法が社会問題化し、1990年代には合同結婚式の問題が報じられるとともに、国外では冷戦終結とともに反共の機運も削がれた結果、政治家と統一協会との結びつきは、いったんは希薄になっていたかのように見えました。
しかし、2000年頃からは、再び国会議員と統一協会の繋がりが見え隠れするようになり、2005年、2006年に安倍晋三元首相が連続して統一協会の関連団体であるUPF(天宙平和連合)のイベントに祝電を出すなどし、他の国会議員も統一協会関連のイベントに祝電を出したり、機関誌に登場したりということが増えていきました。2018年、2019年には全国弁連から、全ての国会議員に宛てて注意喚起を行いましたが、これによって政治家が統一協会と縁を切るということはなく、一層関与が加速しているような状態でした。その最たるものが、安倍元首相が2021年9月に統一協会関連団体であるUPFの大会にビデオレターの形で登壇し、統一協会トップである韓鶴子を賛美する言葉を述べたことでした。
こうした政治家の統一協会への関与が、結果として安部元首相への銃撃事件を引き起こす一つの契機となってしまったことについて、統一協会問題について多くの情報を有していた我々としても、この問題への注意喚起が不足していたという反省があります。だからこそ、この機会に、多くの人に、統一協会による被害の悲惨な実態を知ってもらいたいと思うのです。
著者について
全国霊感商法対策弁護士連絡会・代表世話人。1949年福岡県生まれ。72年東京大学法学部卒業、78年弁護士登録。88年から全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長、日弁連消費者問題対策委員会委員長、内閣府消費者委員会委員など歴任。著書に『検証・統一教会=家庭連合』など。
1945年、山形県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。高校教師、経済誌編集者を経て評論家に。著書・共著に『竹中平蔵への退場勧告』『佐藤優というタブー』(旬報社)、『偽りの保守・安倍晋三の正体』『自民党と創価学会』など多数。
全国霊感商法対策弁護士連絡会・事務局長
弁護士
統一教会問題の全貌について学べる良書。対談が特に面白い。
2022 年 10 月 31 日にレビューされた書籍
日刊紙を読むことをほとんど止めてしまい、週刊誌を読むこともほとんど止めてしまったので、リアルタイムの世の中からちょっと遅れ気味になっている。
それで、統一教会問題の知識も遅れ気味のため、勉強のための新しい本を探したら、この本の近刊予告を見つけたので予約した。文春新書も11月に出るようだ。
予習として、unlimitedで読めるニューズウィーク9月13日号の統一教会特集を読んでみた。
本書は全国霊感商法対策弁護士連絡会の5人の弁護士と佐高信氏の共著で、佐高氏は対談にだけ登場する。
一、目次の一部
刊行に当たって 川井康雄。
第1章 統一教会の実情 阿部克臣。
第2章 統一教会の歴史 山口広。
第3章 統一教会の霊感商法と人集め 木村荘。
第4章 統一教会と政治の関係 中川亮。
対談 統一教会とは何か、なぜ存続し続けてきたのか 山口広☓佐高信。
以下略。
二、私的感想
○ 実情、歴史、霊感商法と人集め(具体的手法とシステム)、政治との関係とも、情報豊富でよくまとまっていて、統一教会問題について、たいへん勉強になった。
○ ただ、弁護団の調査・主張だけなので、すっきりしすぎている感はある。
○ 対談はこの中に異分子(主張は大きくは違わないようだ)佐高信が乱入してきた感があり、一段と面白くなり、本の世界が広がっている。佐高は一応質問者、山口氏に教えを請う人という位置を守っているが、ときおり突っ込みが激しくなり、ときおり生徒と先生が逆転してしまう。
○ まず山口弁護士の個人的体験(自宅無言電話攻撃被害)を上手にしゃべらせる。次に信者は被害者であり加害者ではないか、騙されるのも悪と佐高が突っ込み、山口氏が全部被害者で、騙すのが悪と反論。
○ 次のなぜ騙されるのか、なぜ騙される8割が女性なのかについての山口氏の理論的情念的回答が本書で一番面白い。引用したいがネタバレ防止で止めておく。
○ 佐高は統一教会の騙しのシステム成立の背景と基盤に「政治の貧困」「政治の問題」があると繰り返す。これに対して、山口氏は「家庭のホテル化問題」を主張し、別の話を始める。引用させていただく。「人間は、衣食が足りたら次のものを求める厄介な動物であると。飯が食えて、働く心配がなくなると、青年たちは「俺はなんのために生きているんだ」、「この世の中どうなっているんだ」とか、ある意味では余計なことを考え出すわけですよ。人間っていうのはほんとうにめんどうくさいよね」。
三、私的結論
○ 統一教会問題の全貌について学べる良書である。
自民党の統一教会汚染追跡3000日
自民党の統一教会汚染追跡3000日
安倍元首相と教団、本当の関係。
圧力に屈せず追及し続けたジャーナリストがたどり着いた真実とは?
168人国会議員リスト公開!
노력을 기울여 오신 한학자 총재님을 비롯한 여러분들께 경의를 표합니다.
鈴木エイト (著)
事件の10か月前、この宗教団体のフロント機関が主催するオンライン集会に予め撮影したビデオメッセージでリモート登壇した安倍は基調演説の中で、教団の最高権力者への賛辞を述べていた。全世界へ配信された安倍の基調演説を見た山上は犯行を決意。この〝動機〟は山上の思い込みなのか、それとも一定以上の確度をもって裏付けられるものなのか。その検証は第2次安倍政権発足後、9年間、3000日以上にわたって自民党とこの宗教団体の関係性を追ってきた私だけがなし得るものだった。日本の憲政史上最も長い期間、内閣総理大臣を務めた安倍が殺害されるに至った道程を記す。(プロローグより)
鈴木エイト
滋賀県生まれ、日本大学卒業。2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表、主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め、「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかにカルトや宗教の二世問題、反ワクチン問題などを取材しトークイべントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社)。本書が初の単著となる。
メディアが統一教会と政治家の関係をタブーとするなか、教団と政治家の圧力に屈せずただひとり、問題を追及しつづけてきたジャーナリストがすべてを記録した衝撃レポート、緊急刊行!
目次
プロローグ 安倍元首相が殺害されるまで 2
第一部 安倍政権との癒着 (2013-2020) 11
第一章 発覚した首相官邸と統一教会の〝取引〟 12
第二章 利用される2世信者たち 39
第三章 教団イベントに国会議員が大挙参加 69
第四章 疑惑の国会議員を直撃 101
第五章 全国弁連の申し入れにも聞く耳持たぬ自民党 115
第六章 50周年大会の勝共連合、教団関連組織のエ作 132
第七章 顕在化する総裁 · 韓鶴子の反日思想 151
第八章 2019参院選で暗躍する教団 160
第九章 第4次安倍再改造内閣は〝統一教会系内閣〟 177
第十章 自民党最大派閥会長が教団サミットで 講演 184
第十一章 教団と政治家とのマッチング集会 201
第十二章 「桜を見る会」に統一教会関係者 213
第十三章 2世信者が韓国で謝罪ツアー 216
第十四章 国会議員同伴の北朝鮮訪問が頓挫 230
第二部 菅 · 岸田政権への継承 (2020-2022) 249
第十五章 菅政権へ引き継がれる〝負のレガシー〟 250
第十六章 統一教会と米歴代大統領との蜜月 260
第十七章 ついに安倍晋三がリモート登壇 266
第十八章 岸田政権でも〝継承〟された教団との関係 284
第十九章 2022年参院選、安倍晋三暗殺 292
エピローグ 我々は何に目を向けるべきなのか 304
統一教会関連団体と関係があつた現職国会議員168人 307
【編集担当からのおすすめ情報】
事件以降、次々と明るみになる自民党と旧統一教会の関係を、その何年も前から追い続けていたのが鈴木エイト氏です。鈴木氏は、刊行の当てもないままこの本の元となった原稿を以前から書きためていました。テレビ出演など大忙しのなかその原稿に大幅加筆し、この緊急刊行にこぎ着けることができました。圧力に屈せず真実をひたすらに追い続けたジャーナリストの、覚悟と執念の集大成です。
https://threadreaderapp.com/thread/1661328916655775744.html
鈴木エイト ジャーナリスト/作家『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)
@cult_and_fraud
May 24, 2023 • 12 tweets
#韓鶴子 #尹煐鎬 #文鮮明 #統一教会
5月7日の「生誕80周年式典」「合同結婚式」「天苑宮奉献式」を終えた統一教会の韓鶴子総裁。
韓鶴子は5月9日に教団ナンバー2だった尹煐鎬・世界宣教本部長を更迭、5月18日には文鮮明の統一原理の創造原理を否定との情報。
激震の統一教会。
尹煐鎬は金孝南と同じく「公金横領」で更迭か。「公金」と云っても日本の被害者から収奪したお金。
尹煐鎬はカンボジアのフンセン首相らとのメコン川のプロジェクトに数十憶投資との情報。
尹煐鎬と敵対する鄭元周(チョン・ウォンジュ)総裁秘書室長や文鮮明・韓鶴子夫妻の長男・文孝進の妻・崔姸娥らが尹の公金横領などを韓鶴子に報告か。
韓鶴子は宋龍天・元日本総会長を世界会長に任命。「日本を発展させた」
UPF世界会長に梁昌植を任命。UPF総裁は韓鶴子。
韓鶴子は総裁秘書室を強化。第1秘書室は家庭連合(統一教)とUPFを管理、秘書室長は文妍娥。第2秘書室の室長は鄭元周。(昨年夏、韓鶴子は鄭元周を連れてラスベガスのカジノでギャンブルと週刊文春が報道、信者の献金をカジノに費やす?)
韓鶴子「もう宣教本部はない。家庭連合と統合し、修錬苑と一つになって加平復帰に注力しなければならない。天苑宮に運営分科を置いてしっかり管理し進めなければならない」
韓鶴子「私たちは責任を果たしたのか。5つの地区会長!食口が増えたか。実績が大事だ。どうやって4年で国家復帰ができるか。龍会長!アメリカ復帰自信あるか。50州あるが、2、3の州が復帰できていなければならない」
韓鶴子「世界宣教支部はすべて、家庭連合にならなければならない」「釈迦も真の父母の前に子女とならなければならない。仏教は仏教なりに、創造主天の父母様を知ればいい」「80億人類を復帰するためには、家庭連合を中心に祝福させるようにUPFが環境を作らなければならない」
韓鶴子が文鮮明の統一原理を否定か。
5月18日、清平湖での豪華遊覧クルーズ後に幹部70人の前で発言。
韓鶴子が創造原理を否定。教祖・文鮮明の統一原理を否定・解体し、女性メシア「独生女」韓鶴子を中心とした新しい教理体系を構築。
韓鶴子「生命の源泉はお母様を通じて誕生する。男性は0.001%、母は99.999%、天の父母様も同じだ」
「原理講論には二性性相の中和的主体。これではないの。それを正す必要がある」
尹煐鎬一族が仕切っていたマグノリアグループでは日本人信者たちが買わされてきた高額な貴金属などを扱うクリスティーナハンが復活。マグノリアグループの建物も韓国・清平で現地取材。
50~100万円のタキシードやウエディングドレスも5/7の現地での合同結婚式取材で確認。
統一協会の何が問題か
——人を隸属させる伝道手法の実態
信者はなぜ家庭を崩壊させるような多額の献金をするのか?
その伝道・教化手法の違法性はどこにあるのか?
統一協会と対峙した35年
見えてきた被害者救済の道筋と、被害防止の方向性――
郷路 征記
弁護士