統一教会 日本から「4900億円送金リスト」を独占入手!

週刊文春  Shkan Bunshun 2011.9.8      46-49頁


▼ ラスベガスで新財団を設立

▲文教祖が財団に32000万ドル寄付
▲世界本部教会の礼拝室にはキリストと釈迦の絵が

統一教会 日本から「4900億円送金リスト」を独占入手!
少女時代がイベント登場、冬季五輪会場も買収・・・
「週刊文春」記者 石井謙一郎


日本では霊感商法で反社会的ィメ|ジの強い統一教会だが、轄国ではトツプアイドルがイベントに登場したり五輪開催地を買収するなどやりたい放題。だがその原資はすベて日本からの送金だ。その組織のカネを巡つて教祖一家が骨肉の争いを繰り広げているという。


▲3 曲歌った少女時代            2010年2月に完成したソウルの世界本部教会 ▲


八月六日に韓国で行なわれた統一教会(世界基督教統一神霊協会)の信者向けイベントに、人気絶頂の少女時代が出演した。三曲歌って五百万円以上稼いだとされる少女時代は日本でのイメージを落とし、統一教会は存在感と資金力を示した格好となった。

「その出演料も、元は日本からの送金です。いま日本の統一教会がお金を送る先は、二か所あります。大半はもちろん韓国。もう一か所は、アメリカのラスベガスです。修練会に参加するという名目で、毎回百十人の信者が一万ドルずつ持って渡航し、現地で回収します」(現役信者)

ラスベガスに運ばれるのは、文鮮明教祖(91)夫妻がカジノで使う資金だ。膀胱がんや認知症説など健康悪化が伝えられる文教祖だが、ギャンブルにかける情熱は衰えを見せない。

「文教祖はブラックジャック、慄鶴子夫人(68)はスロットマシーンがお気に入りだとか」(同前)

再臨のメシアを名乗り理想家庭と地上天国の実現を使命とするはずの教祖夫妻が、なぜギャンブル狂いなのか。もちろんそこにも、立派な使命があるらしい。信者たちは、文教祖がこう語るのを聞いている。

「堕落した者をも救わなければならないから、お父様自ら実践している。ラスベガスのような霊界が悪い場所へ行くことで、その土地が清くなり、奇跡のような神の摂理が始まるんだ」

文教祖はその崇高な使命をさらに遂行せんがため、カジノつきのホテルを買い取ろうとした。しかし、地元の反対で実現せず。代わりに邸宅を買い、今年五月には築四十五年のビルを約九億円で手に入れた。

「日本の信者はたくさんある名節や記念日ごとに献金をしなければなりませんが、それ以外にも何かと理由をつけては、臨時の献金を求められるんです」(別の日本人信者)

今年三月の東日本大震災が、献金を募る口実となったのはいうまでもない。

韓鶴子夫人の死んだ母親の霊が降りているとされる、韓国人の女性幹部がいる。「大母様」と呼ばれて崇められる彼女は、震災直後にこう発言した。

「本来なら今回の地震は、関東を直撃して関東地方が真っ二つに分断されていたところを、震源地を海にまで飛ばすことができた」

真のご父母様が必死に祈祷したために震源地が海になり、日本列島の分裂という最悪のケースは防ぐことができた。だから、さらに伝道と献金に励めというのだ。このメッセージは、日本の信者に広く伝えられた。

いっそのこと死ねと言って

「献金の要求は増すばかりで、真面目な信者ほど、自分で借金を重ねて献金に応じています。その結果、数人の借金を一人に集めて計画的に自己破産させたり、自殺者まで出ている。

〇七年から警察による霊感商法の摘発が相次ぎ、送金額は激減しました。それでも昨年、目標が二百六十億円だったのに対して三百億円を送金しています。

現役信者が匿名で語り合うサイトには、怨嗟の声が満ちてますよ。『いっそのこと死ねと言って下さい~。昨年3000億(ウォン)ほど送りましたが今年は(略)12000億です』といった書き込みもありました」(同前)

こうやって集められたカネは、どのくらいの額に達しているのか。小誌は、日本の統一教会から韓国への送金額が書かれた内部資料を入手した。

ここには、九九年から約九年間の送金額が、月ごとに記載されている。もっとも多い月は〇〇年の四月で、百九十四億円あまり。年間でみると一番多いのは〇四年で、六百六十九億円が送られている。年平均にすると、約五百七十億円。総額では、この期間だけで約四千九百億円にも達する。

霊感商法の被害救済に長年携わってきた、大神周一弁護士の解説。

「韓国への具体的な送金額がここまで明白になったのは、初めてのことです。以前に、南九州の教区から東京の中央本部への送金額を示す帳簿が明らかになったことがありますが、それを全国規模に広げれば、ほぼ同じくらいの送金額になります。

その帳簿は、霊感商法で集めた金や個人献金などを含む金額でしたから、そのようにして集められた金のほとんどが韓国へ送金されていることが、裏付けられたことになります」

送られたカネは、そのあとどこへ行くのか。韓国の統一教会は、統一教維持財団(理事長は文教祖の四男・国進氏)と、宣教会財団(理事長は韓鶴子夫人)の二つを抱えている。韓国金融監督院と民間調査機関のデー夕を総合すると、維持財団の資産は約一兆ウォン(七百億円)。傘下のグループ企業まで合わせると、総資産は二兆ウォン(一千四百億円)以上にのぼる。宣教会財団のほうは約五千八百億ウォン(四百億円)の資産をもち、そのうち三千五百億ウォン(二百五十億円)は現金だ(いずれも〇九年末)。

いま日本からの送金は、主に宣教会財団へ入っているといわれる。

統一教会広報局に、ラスベガスでの献金、韓国への巨額の送金、信者への献金強要について尋ねたところ、いずれについても「そのような事実はありません」とした上で、

「宣教支援を目的として、韓国教会を含めて海外支援は行われています。献金は、信者の主体的自由意志に基づいて行われています」

と回答した。

苦労ばかり強いられる日本人信者を喜ばせたニュースは、二〇一八年冬季オリンピックの開催地が、韓国江原道の平昌に決まったこと。会場のひとつとなる龍平リゾート(ドラゴンバレースキー場)は『冬のソナタ』のロケ地として有名だ。

後継者だった三男はサタンに

経営不振だったこのリゾートを統一教会系企業の世界日報が買収したのは、〇三年二月のこと。翌々月、日本で『冬ソナ』放送開始。たちまち熱狂的なファンが、ここを聖地と押し寄せるようになった。リゾート内のホテルの売店で、日本のオバサマたちがヨン様グッズを買い漁る。その店の壁には、文鮮明教祖の揮毫が飾られていた。

韓国のネットニュース「ニューデイリー」は開催地決定の翌日、「平昌誘致最大の受恵者は統一教?」と題する記事を掲載した。主会場となるアルペンシアリゾートには江原道開発公社の投資過多が指摘されているのに対し、龍平リゾートは新規投資が少なくて済み、その分利益が多い、というのが記事の趣旨。

平昌有利と言われ始めた今年春頃から、周辺の地価は上がり始めた。統一グループ傘下の各企業の株価も、つられて上昇。三か月で二倍以上の高値をつけた企業もあり、統一教会はすでに売却益を得ている。

来年の五月から八月には、韓国南岸の全羅南道・麗水で海洋博覧会(万博)が開かれる。統一教会は、この地のオーシャンリゾート開発も手がけてきた。三百万坪の土地を買い、ホテルやコンドミニアム、マリーナ、ゴルフ場などの開発に、一兆七千億ウォン(一千二百億円)以上を投資。

それぞれがもたらす経済効果は、麗水海洋博覧会が十二兆二千億ウォン(八千五百億円)、平昌冬季五輪は二十一兆一千億ウォン(一兆五千億円)と試算されている。そのうちいくらが、統一教会の懐に入るのか。


教祖ー家 (写真は「グラフ新天地」2007年 3月号より)

 

文鮮明教祖    韓鶴子夫人
91歳   68

文亨進氏  文国進氏  文顕進氏
七男31歳    四男41歳    三男42


教祖一家がいま、後継問題で骨肉の争いを繰り広げているのは、こうした利権と金庫のカギの奪い合いにほかならない。

現在九十一歳の文教祖は、三番目の妻である韓鶴子夫人との間だけで、七男七女をもうけた。うち四人が死去。統一教会の教えから離れ、父親の不倫や私生児の存在といった理想家庭の真実を、アメリカのテレビで暴露した娘もいる。

後継候補は、息子の中の三人。三男の顕進氏(42)はハーバード大MBA卒。四男の国進氏(41)はマイアミ大MBA卒。七男の亨進氏(31)はハーバード大の比較宗教学科を出ている。第一幕の主役は、三男の顕進氏だった。長男と次男はすでに死んでいるから、儒教社会の韓国で長兄が継ぐのは自然だ。加えて、

「息子の中で父親に一番似ている。弁が立ち、カリスマ性もある」(韓国人信者)

文教祖も当初は、四男の国進氏に経済部門を、七男の亨進氏に宗教分野を任せ、三男の顕進氏に全体をまとめさせる意向でいた。

これを面白く思わなかったのは、なんと実母の鶴子夫人。夫亡き後を顕進氏が継承すれば、自分の権力が削がれてしまうと恐れたのだという。

〇八年七月、文夫妻らの乗った自家用ヘリコプターが山中に不時着し、一行が避難した直後に爆発する事故があった。文教祖は死を身近に意識したのか、幹部百人を招いたこの年のクリスマスパーティーの席で、三人の息子を立たせ、

「これからすべての摂理は、長兄である顕進が中心になっていく」

と発表した。ところが傍らの鶴子夫人は、前もって聞かされていなかったのか、顔がこわばっていたという。

以後、後継争いは、母親の保護の下に国進氏と亨進氏がタッグを組み、長兄の顕進氏を追い落とす局面へ進んだ。

第二幕が開いたのは、昨年六月のこと。文教祖が、正式に後継者を発表したのだ。その文書には「代身者相続者は文亨進である。その他の者は、異端者であり爆破者である」と書かれている。異端者・爆破者とされた顕進氏は、サタン呼ばわりまでされる破目に。

ところが、その文書を作る場面の映像がネットで公開されるや、信者の間に大きな動揺が広がった。

文教祖は、鶴子夫人に促されるがまま文書を読み上げ、ペンを取ってサインしようとしている。

四男はミスコリアとデキ婚

鶴子「日付を書いてくださらないと」

文「なんだって?」

鶴子「日付です」

文「日付がどうした?」

鶴子「二〇一〇年に宣布された、と書いてなければいけません」

文「二〇〇〇年?」

鶴子「二〇一〇年です。……一の字が抜けましたよ」

文「何月?」

こんなチグハグなやり取りが延々続く。誰が見ても、判断力を失った老人に無理やりサインさせているとしか思えない。韓国の統一教会関係者が言う。

「映像には文教祖と鶴子夫人、亨進氏の三人しか映っておらず、撮影しているのは亨進氏の妻です。鶴子夫人と亨進氏は、文書の正当性をアピールするために映像を撮って流したのでしょうが、まったく逆効果となってしまった」

結果として、宗教面の指導者に指名された末息子の亨進氏を前面に立てつつ、資金源である日本を押さえた四男の国進氏が実質的に組織を掌握。さらにその裏で鶴子夫人が糸を引く、という複雑な支配体制ができあがった。

「文教祖の子供たちはみなニューヨーク育ちで韓国語さえ不自由なくらいですが、考え方がもっともアメリカナイズされているのが国進氏。日本における反対派の活動や批判的な報道に、訴訟を含む強硬姿勢で臨む最近の方針は、国進氏の指示によるものです」(同前)

韓国の有力月刊誌『新東亜』六月号の「統一教 王子の乱」と題する巻頭特集記事で、国進氏がインタビューに答えている。

.現在の肩書の中で、もっとも大切なのは何か。

「銃を作る会社を運営することに楽しみを感じます」

アメリカで経営している銃器会社Kahrの売り上げは、年間一千億ウォン(七十億円)を越えるという。とのKahr社のポスターでボンドガールばりのセクシーポーズを決めているのは、国進氏の二番目の妻。前妻は子供ができないことを理由に、鶴子夫人によって離婚させられた。国進氏はその後、〇三年のミスコリアだったこの女性とデキ婚している。

「七男の亨進氏は、いわば宗教オタク。仏教に傾倒していて、実はダライ・ラマに心酔している。だから、説教もお経を唱えてるみたい。部屋には仏像が飾ってあるし、剃髪していた時期もある。木魚を叩きながら祈祷することもあります」(前出の統一教会関係者)

骨肉の争いは、今年に入ってさらに激しさを増した。息子たちの頼りなさと、自分からカネと権力が遠ざかっていくことに気づいた文教祖が、逆襲を開始。最後の右腕である古参幹部の黄善祚氏を国進・亨進兄弟の上に立て、親政復活を図ろうとしたのだ。

この黄氏VS国進・亨進兄弟の力比べは、文教祖VS鶴子夫人の代理戦争だった。しかし黄氏は鶴子夫人の圧力に屈し、兄弟への忠誠を約束する誓約書に、泣く泣くサインさせられてしまう。しかも非公開の約束が反故にされて文書は統一教会のホームページに晒され、黄氏は完全に失脚したと思われた。


▲ Kahr 社のポスターには国進氏の妻


ソウルの検察が捜査を開始

ところが文教祖は、またも反撃に出る。黄氏の誓約書の上に大きな×印をつけて「認定しない 文鮮明」と書き込んだ上、「この文書は無効だと国進に伝えよ」と宣告したのだ。

前述の映像では老いを感じさせた文教祖が、どれほど判断力を保っているのかは不明だ。だが体力はまだ十分らしく、世界各地を飛び回っている。七月には、大統領の招きでナイジェリアを訪問した。

「十七日の訓読会では三時間も話し続け、来賓は途中で帰ってしまいました。スタッフが途中で花束を渡して、お話を打ち切ろうとしたんです。ところがお父様は、その花束を投げ捨ててしまい、お話はさらに二時間続いたそうです」

こう語るのは、現場にいた人物から目撃談を聞いたという信者。翌十八日の早朝訓読会では、さらに大事件が起こった。

「この日のお話も長かった。二時間ほどたったところで、同行していた亨進様が、万歳を三唱しようとした。するとお父様は『やめろ!』とおっしゃって、亨進様の頬を強く平手打ちした。そればかりか、座っていた亨進様の奥様まで呼んで立たせ、平手打ちしたんです。この日の訓話は、七時間に及んだといいます」(同前)

日本から動員された約百人を含む多数の信者が、この場面を目撃した。

韓国人ジャーナリストが言う。

「息子たちの兄弟ゲンカで始まった相続争いが、やがて親子ゲンカに。そしていつの間にか、夫婦ゲンカヘと変わっているのが不思議です。しかし遠からず実権を握るのは、鶴子夫人でしょう。そのための神格化も着々と進んでいて、信者には『昨年、神様と結婚して、神様の妻になった』と教えています」

八月十六日にラスベガスで、新しい組織が作られた。『圓母平愛財団』という名称で、理事長は鶴子夫人。韓国内の企業や不動産を現金化し、アメリカへ移すための受け皿ではないかといわれています。経緯は不明ですが、文教祖がこの財団に三億二千万ドル(約二百五十億円)を寄付しました。鶴子夫人は、宣教会財団に匹敵する現金を手に入れたことになります」(同前)

ところが現在、ソウルの検察がその宣教会財団を捜査中だ。事件名「特定経済犯罪加重処罰などに関する法律違反」。

「アメリカからの送金の違法性が問われ、幹部信者二人が事情聴取を受けて出国禁止状態になっています。この先、理事長の鶴子夫人や、日本からの送金にまで捜査が及べば、跡目争いはますます混沌とするかもしれません」(同前)

ジャーナリストで参議院議員の有田芳生氏が言う。

「日本の幹部の中には、三男の顕進氏についていきたいという動きがあるんです。もともと人望が高かったことに加え、毎週のように来日しては献金を強いる四男・国進氏のやり方に我慢がならないという声も強い。文教祖夫妻の意向に逆らうことになるわけで、混乱はさらに広がるでしょう」

Xデーを待たずして、「理想の家庭」を標榜してきた教祖の家族は、内部から崩壊を始めている。